ヨーロッパの冬は暗く厳しいと聞いていた通り、あの夏の強い日差しはどこへ行ってしまったのかという程のどんより曇り空がいつまでも続いています。
朝方この世界一面を覆う濃霧の中に、もう何年も前に観たロシアのアニメーション作家ユーリ・ノルシュテイン監督の“霧の中のハリネズミ”を思い出しました。
あぁ、あれは本当にこんな霧の中にあるのだなとなんだか感慨深い思いで『おおおぉーい、ハリネズミくーーーーん』と心の中で呼びかけてしまいます。
そうこうしていると、あっという間に賑やかなNöelの足音がやってきました。
アルザス最大の町Strasbourgはクリスマスツリー発祥の地だそうで、大きな大きなツリーもこの時期飾られています。
クリスマスマーケットではヴァンショー片手に皆どこかほくほくと楽しそうで、食べ物はサンドイッチやタルトフランベ、シュークルートといったおなじみのものばかりでも冷たい空気の中でもくもくと立ち上がる湯気を見ると嬉しくなってきます。
もちろんNöelのためのアルザス特産のお菓子も多々あります。
どちらかと言うと、ごくごく素朴なものやアルコールがきいたドライフルーツたっぷりの大人のための焼き菓子が多いように思います。
クリスマスマーケットの中で、歩けど歩けどエッチラオッチラおしくらまんじゅうされながら進まない足取りに、『はて、なんだか前にもこんなことあったような…』と思いをはせてみると思い出しました。
それはたーくさんの人の波とぱちぱち弾けるような声の中、景色は違えど日本の年の瀬と同じあのそわそわ、わくわくした空気です。あのせわしくもどこか懐かしい賑やかさは、色んなことがあった1年をもうすぐ終え新しい良き年を迎えるぞという心持ちの表れなのかもしれません。
さーて、今年もあと1ヶ月のカウントダウンを切りました。キラキラしたNöelの空気をいっぱい吸い込んでもうちょっとだけ楽しい時間を満喫したいと思います。
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